1.大和市の由来
今回は神奈川県大和市である。人口は約23万人の比較的大きな街。面積は27平方キロメートルと小さいながら、小田急、田園都市線、相鉄本線の3つの路線が通るため、市域のほとんどが駅まで15分程度の徒歩圏内で行けるそうだ*1。
日本の雅称を掲げるとはなんと大胆な市だ、とともすれば誇大のそしりを免れないこの市名だが、市名の由来を紐解けばまったく両者は関係ないらしい。
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大和市のホームページより「大和」の由来を抜粋しよう。
「明治22(1889)年の市制・町村制施行により、市域には鶴見村(下鶴間村、深見村、上草柳村、下草柳村、上和田村飛び地)と、渋谷村(福田、上和田、下和田の三村、本蓼川村飛び地と長後、高倉(現藤沢市)が誕生しました。しかし鶴見村では、地勢や民情、政治主義のちがいなどから、下鶴間対深見、上・下草柳の部落間の対立が深まり、分村問題が発生します。
明治24(1891)年、県の調停もあり、村名を四部落(下鶴間、深見、上・下草柳)と関係のない「大和村」(大きく和する)に改称しました*2」
話は脱線するが、一地域にすぎない市町村が広域の名前を名乗ると批判されることがある。
たとえば、伊豆市や伊豆の国市、甲州市、甲斐市、南九州市、黒潮町などで、一地域がより大きな区域を指す名称にするのは確かに誇大感や違和感があるかもしれない。なかには轟々たる批判を受けて名前を撤回した「太平洋市」という例もある。これは、成東町、山武町、松尾町、蓮沼町の4町村が合併して太平洋市を名乗ろうとしたが、一地域が日本や世界にとっての共有財産である太平洋を名乗っていいのかという外からの批判が寄せられて、合併協議会があわてて名称を変更することになったケースである。結果、太平洋市は幻の市名となり、山武市に落ち着いた*3。
大胆な市町村名をつけるのはリスクがあるし、ヘタしたら地元住民が新たな名前に愛着が持てなくなるかもしれないのである。
大和市の「大きく和する」の由来がどこまで周知されているかはわからないが、大和市の大和は明治以来の名前だから、今ではしっかり根付いていることだろう。
2.ふれあいの森
さて、大和市の中で今回下車したのは大和駅。どこに行こうかと思ったら、駅前に「ふれあいの森」の案内が。特に行く当てがあったわけではない。ここは素直にアドバイスに従ってふれあいの森に行くことにしよう*4。
↑大和駅入り口
公園までは駅から徒歩10分程度。駅前からの道が整備されている。
↑駅からふれあいの森への道
↑道中の写真。夕方に来ました
公園はかなり大きい。確かに駅の案内からもちょっとした緑地帯といった印象であったが、着いてみると思いの外広大な空間に驚く。園内には引地川も流れる。今回は行かなかったが、ふれあいの森とは別に「泉の森」という公園もあるようだから、大和駅周辺は散歩コースに事欠かない。地図を見ると海上自衛隊の厚木航空基地がすぐそばにあるが、土曜日だったせいか、航空機の音はしなかった。釣り堀もあるようだから、その気になれば一日中過ごせてしまう。本当に贅沢な緑地帯だ。
↑公園の写真
↑園内の蝋梅
↑園内を流れる引地川。ネコが水を飲んでいた。首輪をしていたので飼い猫と思われるが、しっかり自宅に帰るのだろうか?
3.茶居珈
大和駅に着いたのが夕方だったので、公園を歩いているうちにだいぶ日も暮れてきた。駅に向かってとぼとぼ歩くと、駅もだいぶ近づいてきたところに純喫茶を発見。店名は「茶居珈」*5。「ちゃいか」と読むようだ。
突然現れた純喫茶。店内には焙煎機とたくさんのサイフォン。この日のサービスはマンデリンで510円也。雑誌も置いてあって長居をしても大丈夫そうだ。おしゃべり好きや読書家にはうれしい空間である。
コクや苦味が売りのマンデリンにしては比較的あっさりめのお味であった。
↑店の看板
↑マンデリン。取っ手がかわいい
4.大和湯
実は公園を散歩しているうちに体がしっかり冷えていた。茶居珈の珈琲でだいぶ暖まったものの、晩御飯前にひとっ風呂浴びて景気付けと行きたいところだ。
スマホで検索してみれば、「大和湯」なる銭湯が駅近にあった。茶居珈から5分程度なので、早速向かうことに*6。
↑大和湯の入り口
↑電気マッサージ風呂が名物。しかし、これがなかなか、、、(笑)
写真にあるとおり、電気マッサージ風呂が大和湯の名物のようだ。入れば「もむ・たたく・おす」の3つの効果が得られるとのこと。すごい発明だ。これは試さない手はない。
と思って電気マッサージ風呂を試したが、これがなかなか刺激的だった。軽いピリピリ感がくるのかと思いきや、なかなかのビリビリ感だ。小心者の私には5秒程度入っただけでも不安になるレベル。数分入るよう指導があるが、そんなに入っていたら心臓がどうにかなりそうな。。。きっとこの恐怖感を超えた先に極楽があるのだろう。しかし、私の度胸では5秒が限界であった。もしかしたら入り方にコツがあったのかもしれない。
しかし、駅前徒歩1分に銭湯があるのはうれしい。貸しタオルもあるから、仕事帰りに急に思い立って寄るのも可能だ。私は熱いお湯は苦手だが、ここは40度程度なので私のような人間にはとてもありがたい。
電気マッサージ風呂にはたいして入れなかったが、大和湯のおかげで体はすっかりぽっかぽかだ(^ ^)
5.スミチャン
さて、晩御飯。歩いていると、看板に「第5回Y-1グランプリ優勝」の文字を掲げるお店が。これはいいと早速店内に*7。
↑店の暖簾
↑Y−1グランプリ優勝の文字が。これは気になる
店内は完全に居酒屋だ。けっこう混んでいる。人気のお店なのだろう。
もちろんお店イチオシの「スミチャンカラアゲ」は外せない。カラアゲ以外にもいろいろ鳥料理がある。今回は、骨付き鷄、ささみあぶり焼き、鶏がらだしごはん、大判ツクネ半熟目玉焼きのせを頼んだ。ドリンクは大人のクリームソーダを注文。
カラアゲはにんにく醤油に一晩漬け込んで下味を付けているとのこと。きっと私好みのジャンキーな味に違いない(笑)
↑カラアゲ
カラアゲといっても衣はあまり付いていない。どちらかといえば素揚げに近い。軽く片栗粉をまぶして揚げた感じだ。予想通りジャンキーで濃いめの味付け。ニンニクよりは醤油感のほうが強いか。散歩で疲れた体にエネルギーが充填されてゆく。
↑ボケているが、骨付き鷄
次は骨付き鷄。ちなみに私は育ちは横浜だが、両親はともに香川県出身。DNAは純度100%の讃岐人だ(それゆえ讃岐うどんもちとうるさい)。骨付き鷄はまさに香川県のご当地名物。骨付き鷄発祥のお店、一鶴の本店は香川県丸亀市、私も本店に食べに行ったことがある。ゆえに骨付き鷄には簡単には満足できない。ここのひな鳥を使った骨付き鷄はなかなかに美味しいが、こればかりは一鶴に軍配を上げたい。*8
意外によかったのが食後の口直しに供される烏龍茶ゼリー。口の中が一気に爽快になる。比較的味の濃いメニューがあるので、これで口を爽やかにするのはナイスアイデアだ。写真を撮らなかったのが悔やまれる。お値段も良心的な大和市のB級グルメを堪能。ごちそうさまでした(^ ^)
6.犬の標識
大和駅周辺をぷらぷらして気づくのが犬のマナーに関する立て看板。たくさんあっておもしろかったので、以下に列挙しよう。犬がスーツを着たシュールな絵柄から、子供が嬉しそうにフンを片付けるものまで、多種多様。
今まで気にしなかっただけで、どこもこんなもんだろうか。それともやっぱり大和駅周辺が多いのか?ちなみに実質的に歩いたのは1時間あるかないか。距離にしても4キロあるかないかぐらいだろうか。これだけ看板が多いのは、もしかしたら大和市の犬たちはなかなかにヤンチャなのだろうか??
世の中には犬の糞お断り看板の写真を撮影されている方もいらっしゃる*9。
それでは、以下1時間で集めた犬の飼い主への注意看板。
↑釣り堀の看板にも
↑ついでにこちらも。ハトとのトラブル。ハトによるトラブルということだろうが、人間とハトが対等に闘っているようでおもしろかったので思わずパシャり(笑)
ふっと立ち寄っただけでも緑地を散歩し、純喫茶でコーヒーを飲み、銭湯に入り、B級グルメを食べることができた。都内の家に帰るのも中央林間駅から田園都市線でラクラク。大和市、とても乙な街でした。
さて、今度はどこへ行こうか。
*1:大和市「大和市の紹介」http://www.city.yamato.lg.jp/web/kouhou/shoukai.html
*2:大和市「『大和』の由来と市制施行まで」http://www.city.yamato.lg.jp/web/shakai/reki08-02.html
*3:竹内正浩『日本の珍地名』文藝春秋、2009年、35−40、47、61、122−123頁。
*4:やまとナビ「ふれあいの森」http://www.yamato-zaidan.or.jp/fureai
*5:食べログ「茶居珈」https://tabelog.com/kanagawa/A1407/A140702/14028825/
*6:神奈川県公衆浴場業生活衛生同業組合「大和湯」http://k-o-i.jp/koten/yamatoyu.html
*7:食べログ「スミチャン」https://tabelog.com/kanagawa/A1407/A140702/14054135/
*9:犬の糞お断り看板、http://blog.livedoor.jp/inunohun123/