千葉県船橋市
今回は千葉県の船橋市だ。人口が60万人を超える大都市で、その名を冠する船橋駅は、JR、京成線、東武線が止まる交通の要衝である。お隣の西船橋駅は、総武線各駅停車と東西線のターミナル駅だから、東京都民にとって船橋は馴染みの地名。だが、それだけ近いからこそ敢えて行く場所でもない。東武百貨店などショッピング施設も充実する船橋であるが、とはいえ東京のほうが買い物施設は充実しているで、やっぱり船橋に行くことはない。だから、至近距離ながら私が船橋に降り立ったのもこれが人生で初めてのことである。
船橋での移動距離は駅前半径500メートルといったところ。コーヒーを飲み、ラーメンを食べ、立ち食い寿司を食べた。たったそれだけだが、この3点、どれも美味しかった。特にコーヒーと立ち食い寿司が。さらに言えば立ち食い寿司が美味しかったのである。この立ち食い寿司があるだけでも船橋に住む十分な理由になるだろう。
吉光船橋北口店で絶品立ち食い寿司を食べる
その立ち食い寿司の名は「吉光 船橋北口店」。吉光と書いて「きっこう」と読む。
食べログの口コミを読むと、本店は船橋の別のエリアにあり、本店は立ち食いではないようだ。本店よりもこちらの船橋北口店のほうが圧倒的に食べログの評価が高く口コミ数も多い。主客逆転といった感じ。
開店は午前11時。開店10分後に到着したが、すでに先客あり。スライド式の扉を開けると無骨な頑固オヤジ風の大将と芯が通ってそうな精悍な若手の職人。それに女将さんと思しき女性1名。大将の雰囲気からして、当たりの予感が漂う。
頼んだのは、鯵、ほたて、金目鯛漬け、シラス、ツブ貝、クロムツ。
どれもネタも大きいし満足度が高い。酢飯は赤酢だろうか、しっかりと「私は酢飯です」と主張してくるシャリ。
どれも美味いが、一番美味かったのは金目鯛漬け。添えられているカラシとの相性が抜群。添えられている、という表現よりはもうちょいカラシが多めで、かなりツーンとくるのだが、漬けられることで味が染み込むと同時に食感が丸くなった金目鯛と今まで食べたことのないハーモニーが生まれているのだ。鮪の漬けより金目鯛漬けは少ないように思う。だから金目鯛漬けにカラシが添えられているのが一般的なのかよく分からないが、私には初めての経験だったので、味はもちろん意外性も含めて金目鯛漬けのインパクトが強かったのである。
後でグルメサイトを見ると、同じく金目鯛漬けを推す人が多くて、わかっている人はわかっているのだ、と一人勝手に納得。
吉光の寿司の写真は大将のオーラに呑まれて撮れなかった。しかし、食べログにはたくさん写真が掲載されているから、実際は撮っても問題なかったのだろう。
私は人形町の「喜寿司(㐂寿司)」が好きである。マイフェイバリット寿司である。ここで本当の江戸前の寿司を知ったと言っても過言ではなく、ここで寿司を食べて以来、寿司を本当の寿司とコメの上に刺身が乗った料理(フィッシュ オン ライス)とを区別するちょっとウザい人間になった。美味しい寿司は、酢飯とネタが口の中で混じり合ってシンクロし、たとえネタが大きくシャリが少なかったとしても、刺身ではありません、わたしは寿司という料理です、と感じさせてくれる。他方、フィッシュ オン ライスは一見寿司のように見えて、口の中に入れるとそれぞれが分離してしまって、刺身とコメを食べているような感覚になる。シンクロしないのである。喜寿司には妻と行ったので、以来一人で寿司を食べてその感想を妻に告げるとき、美味しければ今日の寿司は寿司だったと言い、美味しいと思わなかった場合は、今日の寿司はフィッシュ オン ライスだったと言うことが多くなった。もちろん、どういった寿司がいいかはケースバイケースで、地方の漁港など新鮮な海の幸が食べられる地域の場合、芸が細かい寿司よりも鮮度を強調する潔い寿司のほうが美味しかったりするもの。むしろフィッシュ オン ライスのほうが美味しく感じる。
↑漁港擁する小田原で食べた天史朗鮨は、地魚系の美味い寿司屋であった。
で、吉光の寿司は、正しく寿司であった。
これまで立ち食い寿司を食べたいと思ったことはあっても実際に足を踏み入れたことはなかった。しかし、吉光によって立ち食い寿司の世界が相当奥深いことに気付かされた。もっと開拓しなければならない。この日は私の人生における立ち食い寿司記念日となったのである。
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その他
↑鶏ラーメンたけなか。まあまあ美味しかった。
- ジャンル:ラーメン
- 住所: 船橋市本町4-3-3 船橋駅前ビル B1F
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- (写真提供:shinくぴ)
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↑富士そば船橋店。最近富士そばで食べてなかったが、焼肉丼とのセットは初めて見た(単に自分が忘れただけ?)。
↑Rudder Coffee。ホテルメッツが入るビルの一階にある。朝に美味しいコーヒーをいただく幸せ。なんでも船橋をコーヒータウン化しようと目論む人たちがいるらしい。そんなことになれば、船橋は美味い立ち食い寿司とコーヒーにありつける完全無欠の街となってしまう。
↑夜の船橋駅前。すぐ奥は繁華街。こういう清濁併せ持つ街は独特の活気があって好きだ。
楽しかった。次はどの市に行こうか。