全国すべての市を制覇する旅に出た猫

日本にはたくさんの魅力ある市があるにもかかわらず、なかなか探訪する機会がないので、コツコツ全国の市に訪問してみようと思いました。このブログはそんな訪問の記録。

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戦国時代を味わえる東京から一番近い場所〜神奈川県小田原市(2017年11月4日訪問)〜

 

 

今回は神奈川県小田原市

小田原市は神奈川県西部の人口20万人程度の街である。人口規模からいえばもっと大きな都市は多いが、戦国時代の後北条氏の本拠地があった街ゆえか、街の規模以上の知名度を誇る。神奈川、東京に住む人であれば東海道線小田急線のターミナル駅として馴染みがあるし、新幹線もこだまではあるが停車する。 日本有数の温泉地である箱根観光の拠点でもある。小田原城は桜の名所でもあり、城と桜の美しいコンビネーションは日本に生まれた幸せを実感させてくれる。

 

小田原の地名由来は諸説ある。というか、多くの地名の由来は諸説があるのだが、小田原の場合、誤りがもとになっているという説さえある。

 

草書体で書かれた文字を読み誤って「小田原」になったというのだ。

小田原から大磯にかけての一帯は、かつて「餘綾」(よろき)と呼ばれていた。その地名に接頭語の「小」がついて、やがて「小餘綾」(こよろき)となる。この「餘綾」は難しい漢字のためか、「小餘綾」はやがて「小由留木」という当て字で書かれることがあったという。

読み間違いの始まりは、この「小由留木」である。これを草書体で書くと、「留」は「る」で書かれ、「小由る木」となる。それがいつしか、「小」「由」「る木」が一つの塊の漢字と謝って、「小田原」になったというのである(括弧内筆者)(浜田弘明『意外と知らない神奈川県の歴史を読み解く!神奈川「地理・地名・地図」の謎』(70-72頁)

 

 

mtautumn.hatenablog.com

 

識字率の低い昔であればそもそも伝達がうまくいく確率が低い。漢字をちゃんと書ける人が少なかったわけだから、伝言ゲームのハンディキャップは相当に大きい。それに文章よりも話し言葉での伝達がメインの昔であれば、漢字でどう書くかよりも発音のほうが重要であった。すなわち音さえ合っていればよいというある種の割り切りだ。

小田原までは東海道線で行ったが、江戸時代、伊勢参りまでの珍道中(人気が出て旅はさらに続く結果となったのだが)を描いた東海道中膝栗毛の主役の一人の「喜多」さんは、原作では「北」さんと表記されていることが多い。現代であれば誤字とされようが、江戸時代は文字として読むよりも音として聞くことのほうが多かったから、聴衆からすれば喜多さんだろうが、北さんだろうがどちらでもよかったのである。江戸時代でさえこの調子なのだ、いわんやそれ以前の時代においてをやである。

 

今の日本人はほぼ全員読み書きができる。読者が多いか少ないかはともかく、ブログを使って私のような一個人が記事を書いて対外的に発表することもできる。皆が読み書きできるからこそ文字を使ったコミュニケーションが発達し、皆が読み書きできるからこそ正確な記述が当然視され、誤字脱字が注意される。メールやSNSでのコミュニケーションは特に年配の人から味気ないものとして映るようだが、こうしたコミュニケーションが可能なのは、まずもってわれわれが老若男女を問わず文字を使ったコミュニケーションスキルが高いからに他ならない。絵文字等も含めて若い人ほど文字を介したコミュニケーションスキルが高いし、工夫されているのではないだろうか。私の世代は携帯電話普及期に当たる。携帯メールは手紙より味気ないと言われたものだが、現役世代はメールの返信の早い遅い、絵文字を使うかどうかでけっこうな駆け引きを展開していたのである。見えないシグナルを読み取ろうとして過剰に反応してしまう悩ましい側面があったことは否定しないけれど、あれはあれでとても心踊るものがあったのである。

 

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早川港で釣りをする

小田原に来た目的は2つ。一つは魚料理をつまみたくなったから。もう一つは相方が釣りをしたいと言ったからである。相方は釣りをしたことがないが、私とて幼い頃に長野県かどこかに旅行したときに釣り堀でニジマス釣りをした経験しかない。ブランク、といってもそもそも釣り技術を何ら習得してないのだが、この日は人生で2回目、初めての釣りから30年以上も経過しているのである。あの頃の自分は珠のようにかわいかった(はずである)。

 

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 ↑天史朗鮨でランチ。地魚寿司も一品料理で頼んだシャコの塩焼きも美味しかった

 

 

小田原で真っ先に行くべきは小田原城なのだろうが、過去に行ったことがあったし、あまりのんびりしていると釣竿のレンタル時間が終わってしまう。まずは駅前の寿司屋で腹ごしらえしつつ、駅前で借りたレンタサイクルで港を目指す。

 

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↑充電されていない自転車があったりメンテナンス状態があまりよくないが、神奈川西部を網羅させようとするその野心はすごい。神奈川西部には小田原、箱根、湯河原など有名な観光地が多いから、本当に神奈川西部を網羅できたらすごく楽しいだろう。ポテンシャルが大きいのだから是非とも頑張ってもらいたい。

 

docomo-cycle.jp

 

港には多くの人がいた。自分が記憶していたよりも飲食店の数が多い。各店ともなかなか賑わっているようだ。天気もいいし。なんせ関東はその前の週もさらにその前の週も、せっかくの週末が季節外れの台風のせいで雨だったのだ。みんな秋の行楽を楽しみたくてうずうずしていたに違いない。翌日は日曜日でお休みだから、中には箱根に行く人もいるかもしれない。小田原は箱根エリアに行く拠点でもある。

 

釣竿は無事に借りられた。繰り返すが、とても小さい頃に長野県のどこかの釣り堀に行った記憶がうっすらとある程度で、そのわずかな経験を除けば人生で初めての釣りである。

 

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リールのない単に垂らすだけの釣竿とエサやバケツの一式を借りた。今日は晴れ。気温も20度超と絶好の釣り日和だ。お店の人もかなりの人出だと言う。他の釣り人との距離があまりに近すぎるのも問題だが、他の人が海に蒔いたエサの恩恵にあずかれるため、ほどほどであれば似たような釣りをしている人の側でやるといいそうだ。

 

港の岸壁に腰掛けて釣り糸をたらす。単純の設計の釣竿だから準備が楽チンであった。

 

 

エサのオキアミを海にばらまく。

 

 

魚影が見える。小さい魚のようだが、オキアミ目当てすぐに魚が集まりはじめた。

 

 

 

さらにオキアミを海に投下する。

 

 

 

針にはエサは付けてないが、疑似餌に反応したのか針の周りにも魚が集まる。彼らの関心を惹いているようだ。

 

そのうちの一匹が針にかかった。

 

食いついたというよりは引っかかったといったほうがピッタリのかすかな感触。小さい魚だからか、引きも大したことはない。あっさりと魚を陸に釣り上げた。

 

まぁ、そんなに簡単には釣れまいと思っていたら、ものの1、2分で一匹釣れてしまった。なんの魚かわからない。鯵やイワシではないようだ。

 

体長は10センチもないくらいか。しかし、そんな小さい魚でさえも自分が生命体であると圧倒的な存在感で主張してくる。釣り経験者なら誰もが通る道なのだろうが、これから針を外さなければならないのだ。さすがに切り身の魚が海を泳いでなんて思ったことはないし、網で魚を取ったこともある。生きている魚にあいまみえるのも人生でこれが初めてというわけでもない。が、針を外すためにピチピチと跳ねる魚と格闘するというのは想像以上のハードルの高さである。さりとて外さなければこの魚は死ぬわけだし、釣りを続行することもできない。選択肢はない。しかし、このわずか10センチの生命体の私めっちゃ生き物です、という自己主張はすさまじく、対して触れようとする私は大変な及び腰なのであった。体重差で言えばライトフェザー級とヘビー級以上の違いがあるはずなのに、翻弄されていたのは確実に私のほうであった。相手は蝶のように舞ったわけでもないのだが。

 

そのときは何の魚かわからなかったが、のちに他の釣り人に教わったところ、「アイゴ」とのこと。そして、今から思えば本当に運が良かったのだが、この魚の背びれには毒があったのだ。死ぬことはないが、数日から数週間、激痛が続くらしい。針を外すとかに背びれに触れた気もするが、幸い刺されはしなかったのうだ。あやうく釣り開始1分でダウンするところであった。

 

2時間あまりの釣りで相方と合わせて10匹程度釣れた。すべてアイゴ。他の釣り人曰く、この日はアイゴしか引っ掛からないらしい。まだ幼魚なのか食べるには小さいので海にリリースした。釣り店店主はアジやイワシは釣れるというし、店内に飾られた写真を見れば数十センチはあろうかという立派な魚を釣り上げた人もいる。さすがにわれわれが借りた垂らすだけの釣竿ではそんな大魚が食いついたところで釣り上げることはできないのだが。

 

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晩飯を回転寿司というかバルというか、とても邪道なのにとても美味しい回転寿司屋で済ませ、夜の小田原城に立ち寄り、駅前の万葉の湯に入る。お土産のかまぼこも買った。半日だけの滞在ではあったが、かなり小田原を満喫できたと思う。

 

 

 

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さて、今度はどの市に行こうか。

 

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