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全国すべての市を制覇する旅に出ます

日本にはたくさんの魅力ある市があるにもかかわらず、なかなか探訪する機会がないので、コツコツ全国の市に訪問してみようと思いました。このブログはそんな訪問の記録。

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地図を使う?それとも使わない?ー大沼一雄『地図のない旅なんて!』ー

どのような旅を理想とするか。大いに意見がわれそうだ。

 

まず大きく、事前に綿密に計画して旅に臨むか、それとも計画を立てずに気の向くままにその場その場で行き先を決めるかでわかれよう。

 

事前計画派はそのほうが訪れるべき価値ある場所を効率的に回れると言うだろう。事前にしっかり調べておけば、後で、あ〜、あそこも行っておけばよかった〜みたいな後悔は避けられる。

 

他方、気の向くまま派であれば、当てもなくふらふらしたほうが偶然の出会いやガイドブックに載っていない自分なりの発見や気づきを得られると言うだろう。ガイドブックやネットで手垢のついている場所に行くなんておもしろくないじゃんって人もいるかもしれない。

 

事前にどこまで計画を立てたり資料を読んだりして準備をするか、はたまた極力そういった手順は省いて現地での直感を頼るか、意見は分かれよう。

 

今回読んだ『地図のない旅なんて!』の著者、大沼一雄氏はどちらかといえば前者のタイプと思われる。

 

地図のない旅なんて!―地図を読んで旅を二倍楽しむ

地図のない旅なんて!―地図を読んで旅を二倍楽しむ

 

 著書のタイトルのとおり、本書は地図を利用した旅の楽しさをお薦めする本である。

 

大沼氏は旅行会社のパンフレットに従う旅行は「"作られた観光地"というのは、既製服みたいなもので新鮮味がなく、私はあまり利用しないと」として、自分なりの楽しみ方で旅行することを薦めている(3頁)。

 

では、行き当たりばったりの旅がいいかといえばそうでもない。筆者は旅先は地図で見つけ、そして行き先が見つかったら、「徹底的に地図を読む。」

 

宿は現地に着いてから決めたり、乗り物は使わずひたすら歩いたほうが思いがけない出会いがあったり、素晴らしい被写体に出会ったりするとは言うが(4ー5頁)、「実り多い旅には周到な準備が必要だ」と強調する(Part One 第3章)。

 

むしろ、ガイドブックなんかよりも市町村史で情報収集をするというのだから、よほどガチの事前準備派といえそうだ。

 

市町村史まで読むかは別にして、確かに地図は旅の入り口としてちょうどいいかもしれない。

 

地図記号を覚えたりと、読み解くには一定の基礎知識は必要だが、地図には何がどこにあるとか、地形がどうだとか、膨大な情報が詰め込まれている一方で、写真や映像があるわけではないから、そこがどういった質感でとか、どういった色彩でといったとりわけ触覚や視覚面の情報については、実際に現地に行ってみないことにはわからない(もっとも今ではグーグルマップのストリートビューがあるから、地図からそこの映像を入手できてしまうのだが。筆者もそんな時代が来ようとは執筆時には想像できなかったろう)。

 

ガイドブックだとキレイな写真が掲載されているから、現地に着いたときにガイドブックの情報の裏付け確認みたいな気分になってしまう面がある。その点地図は適度に行ってみなければ分からない情報を残してくれる。その絶妙なサジ加減が地図の魅力かもしれない。

 

筆者は小中学校の頃から地図に親しみ、地理の先生だっというから、同じレベルでわれわれ一般人が地図を読むのは、能力的にも時間的にも難しいだろう。市町村史まで読んでいたら、旅に出るまでに何年もかかりそうだ。

 

とはいえ、あえて地図を広げてみれば、リアルの書店に行って、自分の目的の本を買おうとしたら、類書や話題の新刊が平積みされていて、さらに読みたい本が見つかるといった感じで、派生的に行きたい場所や興味深い場所が見つかるかもしれない。

 

地図というのは活字の小説のようなものだ。活字の本には画像やイラストといった想像の手助けをしてくれる材料が一部を除けば基本的にない。だが、それゆえに活字の描写をもとに自分の頭の中で自由にイメージできる。活字を原作にしたドラマや映画が自分の想像していた世界よりもだいぶ貧弱でがっかりしたなんて経験は誰しも持っているのではなかろうか。それだけ人間の想像力とは素晴らしい。

 

実際に訪れた土地が地図でイメージした世界よりも良かった悪かった、同じだった、かなり違ってたなんて思いを馳せながら、現地を探訪するのはきっと味わい深いことだろう。

 

地図といっても、最近はグーグルマップだからストリートビューは見れるし、ルート検索までしてくれる。だが、旅とは非日常なのだから、普段使いのグーグルマップは一旦脇に置いて、古典的な地図の旅を楽しむなんてのも一興だ。

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